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2026年 【年頭所感】 会長 山村真一




2026年、わが国の医薬分業は「存続の議論」ではなく「進化への議論」を避けて通れない段階に入り
ました。

1974年の「分業元年」から約半世紀、われわれが依存してきた「処方箋を待つだけ」の事業環境は
もはやその根底から覆されようとしています。
こうした現実を直視するならば、今求められているのは、既存モデルを前提とした小手先の修正ではなく、
「変革のための破壊(Disruption for Transformation)」を受け入れる覚悟です。

その潮目の変化は、すでに現実のものとなっています。
まず、AIの急速な進化と医療DXの加速は、調剤業務をコモディティ化させ、今後、オンライン診療や
医薬品宅配サービスが拡大することで、『薬局に物理的に足を運ぶ必要性』は確実に低下していきます。
これは、『薬局がなくても困らない社会』を予見させる最も深刻な構造的脅威です。第二に、異業種の
参入による市場再編です。総合スーパー(イオン)、高度な物流網を持つオンラインプラットフォーム
(Amazon)、そして総合商社といった巨大資本が、競争の基盤を処方箋の獲得から顧客生涯価値(LTV)
へと移行させ、既存の薬局経営モデルはかつてない厳しい競争にさらされていくことになります。
そして、第三の変化はOTC類似薬の保険給付の見直しです。これは単なる医療費抑制策ではなく、
国がセルフメディケーションを本格的に推進しようとする明確なシグナルであり、処方箋への依存度が
高かった従来のビジネスモデルからの脱却を促す、決定的な政策の転換点です。

これらの複合的な地殻変動に対し、私たちは従来の受動的な「処方箋依存モデル」から、地域住民の
健康を能動的に支え、国家的な課題を解決する「社会課題を解決する社会基盤」へと、薬局の存在意義
を根底から見直し、医療アクセスの再定義をしなければなりません。
地域にとって「なくてはならない存在」へと進化することこそが、この難局を乗り越える唯一の活路なのです。

具体的な変革の方向性は明確です。薬局を軽度な疾患や体調不良の際の最初の相談窓口である
「セルフメディケーションと軽医療の拠点」へと進化させることです。
英国の「Pharmacy First」サービスをベンチマークとし、薬剤師が主体的に軽医療に対する医薬品提供を
行える体制の構築を目指し、簡易検査等の薬局のサービスメニューの拡大を通じて、薬局が地域公衆
衛生の最前線を担う存在となる覚悟が必要です。

この変革の最大の推進力は、現場を担う薬剤師一人一人の意識改革に他なりません。
私たちは、制度が与えてくれるのを待つのではなく、自らの手で専門性を拡張していく強い意志を持つ
べきです。
「海外の薬剤師は自らの職能を自らで獲得してきた!」という事実を胸に刻み、「規則を守る存在」から
「制度を設計し提案する担い手」へと、能動的に移行することが求められます。

今遭遇している難題は、間違いなく「薬局本領発揮時代」への通過点です。厳しい道のりではありますが、
今までの常識は捨て、新しい価値観を持って未来を創造する覚悟が問われています。

本年が皆さまにとって、この歴史的な変革に挑戦し、さらなる飛躍を遂げる年となりますよう、
心よりお祈り申し上げます。



 
   
 
 
 
 
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